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アンドロイドへの恋

おひさしぶりぶりっす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
永きに渡る中断失礼しました!!!
これから昼子がんばりまうす
よろしく おにゃんこっす!!!!!!




アイスが食べたい 018

アンドロイドへの恋

IMG_1572.jpg




っかん
っかん
っかん

階段を登る優美な二足歩行のラインが
気配を消して、さりげなく、
私の隣の席に 座っている。

ツービー
オル ノット
ツービー

二匹 三匹 三匹 四匹
の海老たちが、階段下にある
発砲スチロールの箱の中で
ぐにゃ ぐにゃ している。

私に内蔵された記憶ダイナミクスチップ 550 TBの中の映像ファイルを再生し、BR無線LANで繋がれた携帯型空間投影装置「レンコン」で私はそれを風呂場の窓にリア・プロジェクションさせ、「土星の湯」の元を入れたバスに漬かって
これが何回目になるか もはや 数えられない その時間を 懲りずに 復元する。

―一年前。

すべては、同じだ。
あなたは、私に最適化されて、
私の隣の席を優美に侵略すると、
そのまま私を、支配下に置き、
目覚めのシルクの布のように、君臨する。

あらわれては
消え去る
その ぬくみに
私は ひっそり 怯える。

手は、グラスをひっかけ、
水は 私の黒いノートの 文字を
撹拌し 四方に 甘えさせる。

数時間後に内部で発せられた言語:

きみ、まちたまえ
僕は まだ 君に なにも 
つたえては いない

数日後に外部化され送信された言語:

私は、このまま。
あなたは、それでいいの。
だって、私は、
このままで いいんだもの。

恋は人をフロイトにさせる。
なぜ、なんで、どうして、ホワイという
プロファイリングへの欲望は、
本能のOSに書き込まれた、
消えないプロトコルなのか。

「この花を うけとってくれないか」
「あら、きれいね」
「この曲を きいてくれないか」
「あら、いい曲ね」
「この果物を たべてくれないか」
「あら、おいしいわね」
「僕と、食事に いかないか」
「自分の時間が、たまにはほしいわね」

通り雨が、その白い階段を濡らした。

っかん
っかん
っかん

あなたの美しいラインは、
コントラストのない世界のなかで、
仄かに 光を帯びていた。

「あなたは 弱い人だ」
「あら、そんなことないわ」
「だったら なぜ あなたは そんなに 疲れているのか?」
「それは、そういう時期なの 今」
「あなたは いつも そうだ」
「あら、そうかしら」
「僕と あの公園で 散歩しないか」
「ごめんなさい 今日 母がくるの」
「来週の水曜日に おいしいレストランにいかないか?」
「あら、あのお嬢さんと いってらっしゃいな」

無機質な清潔さを装うその近代的浴室のなかで、
私は仄かに呻き 投影された 空間に 土星の飛沫を 浴びせた。

スクリーンのなかの ハンフリー・ボガードは、
顔を 女には 分からない 角度で 歪めた。

ツービー
オル ノット
ツービー

ピンクと濃いパープルが好きだったあの娘にもらった かわいらしい骸骨の絵の枕を、私は 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も・・・

そう、
捨てられなかった。

ボガードは、くわえ煙草を吹かしながら
手紙を書いている。

人類が、異性に向かって 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も 何度も 不可避的に 神経症的に 自己愛的に つづりつづけて来た あの 舌足らずな 言葉を。

スクリーンから、関連映像ファイルのタブが開き、
私はYESのボタンを 前歯に埋め込まれたコントローラーでダブルクリック・アンド・バイトすると、投影されたスクリーンの上下左右、そしてそれぞれの斜めの位相に、エッジの透明度が
下げられた いくつかの大小様々なスクリーンが 新たに投影された。

ソフトウェアの象のロゴマークが現れ、しばらくして、無数の映像が 画面を 飛び跳ね 始める。 

それらは、往時の私の内面的ヴィジョンを結像したもので、
様々な 感情の位相によって 配列され 自動編集されながら 設定された ディゾルブエフェクトによって、1秒の間隔をおいて 新しいものへと 次々に更新されていく。

NRF社によって開発された記憶映像保存装置(ホモ・ヴィジョン)によって 収集された私のヴィジョン・コレクションを 一昨年絶滅したアホウドリのように
見つめながら 私は これは 「 地獄の顕在化に 他ならぬ 。君たちは悪魔か?」と 
カスタマーセンターに メールを 送った。

ゆきつく果ては じごく 
すべての回路は カナキリ声を なりちらかして 私の 私である すべての 由縁を 抹殺する のだ

荒原で 祖父の顔を持ったモンスターが 灼熱に 焼かれて 断末魔の叫びをあげている
小さな 羽虫が シンクロナイズドして 大きな手になり 自転車に乗った私を つかもうとする
白人から追われる インディアンである私は、その砂利山を すっころび 崖下で首の骨を折る
砂浜を 走る 野武士である私は 泣きじゃくる赤ん坊を抱えた 兄の顔をした 下人を 斬る
その横で あなたと 同じ顔をした 遊郭から 逃げて来たような 痩せた女が 
結った髪を ふりみだして 逆光の 砂浜に 残血を したたらせた 私を 
みる、みる、みる、みる、みる、みる、みる、みる、みる、みる・・・

( 私に内蔵された夜空を飛ぶ鉄の物体とそれから繰り出される砲弾の爆撃音と それと同時に 空間を揺らす 空襲警報の甲高いサイレン音 )

その顔は 原節子になり 山田五十鈴になり 吉永小百合になり ジーン・セバーグになり 
ローレン・バコールになり ナターシャ・キンスキーになり ヴァージニア・チェリルになり
ジュルリー・デルピーになり ジュリア・ロバーツになり デビー・レイノルズになり 高峰秀子になり 岸恵子になり 大原麗子になり オードリー・ヘップバーンになって

眼前の私を、侮蔑するのだ。
錯覚 ―「また青か」と呟く青年。― デジャビュの光景。なしくずしのリピート。くわえた煙草を口から落とすボギー。

すべての記憶の映像たちは、「めまい」エフェクトと「エンボス」エフェクトと「グロー」エフェクトを 自動レンダリングされ、混ざり合い、こねくり合い、アトランダムに、なしくずしに・・・・・・

女たちの台詞「それなら薬をもらいに おいきなさい」

(サイレンと爆撃音がやむ)

― あなただけは、
違うと 思っていた

ツービー
オル ノット
ツービー

( 誰かが歌う。

 未来です
 これが未来です
 未来です
 これが未来です

この声は私か?ひばりか?杉良か?清志郎か?ライオネル・リッチーか? )

白い朝
トレンチの襟を きれいに 立て
あなたの部屋の
扉を叩いた 私は
金色の懐中時計を とりだす
秒針と短信が むちゃくちゃに ぐるぐると 回転している
ぐるぐる ぐるぐる ぐるぐると、回転している。

白い
そこは 白い
どうしても どこまでも 白い

いつの間にか、
スクリーンは一つだけに
なっている メールフォルダを開く映像

……………………
××××××××××××××××××××
××××××××××××××××××
×××××××× ×××××××× ××××××
×××××××××××× 
それが、私の気持ちです。

自立して がんばってください
お元気で。」

字幕―提供:【 オンライン恋文学RPGデアデア.ネット 】当社サービスの商用目的の無断使用および無断複製は、固くお断りさせて頂きます。

やべ、



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月と60円


これも古いやつだなあ 
8年近くまえのやなあ。



アイスが食べたい 017

月と60円

IMG_2064.jpg

旦那
上着は脱がないほうが
よろしいでっせ
夜は潮風が
荒れやしてね
ちっと
油断しただけで、
ぶるっと 
きまっさぁ
 
私はメロン味のかき氷を食べながら
ぼんやり飛沫を見ている

そこで
問題はですね
婦警が取り締まった車に乗ってたチビッ子がね、その婦警の分かれた旦那との間につくったガキだったんでさぁ、
いやぁ〜そりゃ、おてんとさまの考えなさることわ、あっしらみたいなシモジモにわ、
てんでガテンがいきやせんね〜
まみちゃん、
ガッテンして
いただけたでしょ〜か、
なんつって、
へ、へ、へ
志乃輔は落ち着きがあって、
あたしは好きですねぇ、
あ、旦那ライターお探しですかい?
さっきそのチョッキのカクシへしまわれやしたが?
へ、へ、へ
いやぁ、それにしてもさみぃなあ、
ところで旦那、生まれはどちらで?

風はやや冷たいが嫌な部類ではない
心臓は高鳴る
ドキン
ドキン
ドキン

旦那
お疲れでございましょ
しばらく
お休みになられたら
いかがでござんしょ

水はぬるかった
おもいきって目をあけた
光がバラバラに割れていた
自分が吐いた泡がみえた
服が重くなった
魚が死にかけていた
つかもうとしたが
気持ち悪くなってやめた
何も聞こえなくなった
私の意識はくっきり4分20秒続いた

気がつくと
ライオンが
私を
憐れんだ目で
見つめていた

私は咽喉仏の2センチほど上と
ちょうど米神のあたりを
8センチ2ミリの歯で噛みつかれ
痛みというものを久しぶりに感じた
痔を柏にある病院の肛門科医に
潰されて以来か。
顔中がライオンの唾液でベトベトになり
それに私の新鮮な血液が混じった
私は意外なほど冷静だった
ライオンは私を串刺しにしたまま
何度も何度も
私の身体を左右 前後 斜め 上下に
揺り動かした

ど ち ら に し よ う か な
天の神様の言 う と お り
鉄 砲 撃 っ て
バ ン バ ン バ ン

私は酷い痛みと流血によって視覚を奪われ
足から力が抜けていったが 
手だけは忠実に作動した
私はライオンの腹部を伝って
彼のペニスをかぼそく握り締めた
それはイボイボの凹凸があって
気持ちよくはなかった
私は全生命をほとばしらせ
ライオンのペニスをしごいた

ライオン 
ハッピーか?
え?
ハッピーか?

 旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです

むかし、
よなべした
かあさんが
寝ゲロを
ふいてくれた。

私の頭蓋骨は砕け
描写に耐えがたいいろいろなものが
ライオンの潤んだ瞳に反射した
私は灰色の脳の左側前方から3センチ程いったところの襞の中に埋まっていた
なんとか顔を出すと
ライオンの口の中がすぐそばにあった
私は彼ののどチンコめがけて
満面に笑みを浮かべて 全速力で走った

 ドキン
 ドキン
 ドキン

私は口を無理やり大きく開けて
検歯鏡をつっこまれていた
真っ白なマスクをした歯科医は
何かホース状のものを私の歯茎に
近づけヂ、ヂユゥーという音を立てながら
唾液を吸い取っている
 
むかし、
ゴミ捨て場から
拾ったエロ本で
縛られていた熟女は、
親戚のおばさんの長女だった。

周囲に妙な異臭がしたが
歯科医のものか私のものかは
分からなかった

診察室の入口ドアを叩く音が
三回聞こえた
若い女の研修医が
もう暫くお待ちくださいといった
ドアが無言でひらき
全身タイツにカウボーイ・ハットを被った
痩せ身の男が入ってきた
彼は名詞を歯科医に渡した
「ハンター・ハンター」と書いてあった

おまえは虫歯ハンターだ
私はハンター・ハンターだ
ハンターはハントする
よって
私はおまえをハントする

強引だが
シンプルでいい台詞だと
私は思った

彼はへそからアイスピックを取り出し
真っ白なマスクに三回刺した
確実にポイントをついたようだ
歯科医は天使になって浮遊していった
彼はアイスピックを仕舞い
私に微笑むと帰っていった

私は彼に恋をした

 唾を飲む、ゴクリと
 コトコトコトコトコートコト
 機織マシンが回ります
 シャボン玉の散れじれに
 赤外套が辞書捲る
 坊主が木魚を叩く間に
 売女が客を獲る前に
 夜霧が静寂の幕引いた
 向日葵一輪 咲いていた

 唾を飲む、ゴクリと
 灯篭明かり、目印に
 風船小童 下駄鳴らす
 コトコトコトコトコートコト
 京都弁の淫らなる
 髪長女の吐息を浴びて
 辞書捲る左手、徒に
 独楽が回っているうちに
 風船うかぶ その隙に

ここは私には知らない風景だった
知らない人の車に
勝手に乗りこんで
ここまできた
300メートル走った
厚化粧をした若い女が
親指を上げている

チッカチッカチッカチッカ

 一番ましな街までお願い
 音楽が聞きたいなあ

シャララララールルレーラリラーレレラララーラリラー

 あ、サティーね
 あんた
 バカにしてるでしょ
 こう見えても専攻、現代音楽だったの
 えっと
 ストラビンスキーでしょ、
 シュトックハウゼンでしょ、
 武満徹でしょ、
 あ、
 クセナキスって、
 知らないでしょ?
 ギリシャ人なのよ、
  
私はアクセルを踏んだ

 ねえ
 どこ行きますか?






●ぬおおおおおおおおおおおおお

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ひ・ぶん・ぶん 2

アイスが食べたい 016

ひ・ぶん・ぶん 2

IMG_1712.jpg


ひ・ぶん・ぶん 1

雑誌や広告から写真を切り取って、スクラップ帳にのりづけしてコラージュすることに、疲れきった初老の小男、小出克己は、でぶった腹をかかえてコタツから出ようとすると、ちからなく萎えきった足は痙攣して、意味もなくつったのだが、

妻の幸恵はその時、浮気相手の土建屋の社長に池袋の芸術劇場の裏手にあるラブホテルで抱かれていて、有楽町の居酒屋で開かれた熟年合コンで三日前に知り合ったその男が茶色い鞄から取り出した水色のバイブで股間を振動されていたのだったが、

長女の高校三年生の葉子は塾にいくと嘘をついて初めて単車の後ろに乗せられていった世田谷公園のベンチで、大学生のヨシザワフミノリに生まれて初めて胸を揉まれていたのだが、

長男の孝志は三泊四日の予備校の冬期講習から家にむかって友達のヨコミツと帰っている途中でよった揚げ物屋のおやじに男爵コロッケ代120円を渡している時だったのだが、

葉子の胸を揉んだヨシザワフミノリは不必要に興奮して鼻息を必要以上に荒くしたものだから、されるままになっていた葉子は少しきもくなってヨシザワを押しのけると、ヨシザワの肩掛け鞄からオオマエケンイチのハードカバーの本が落ちて、散歩に来ていたオオムタサトミの飼い犬でシェパードのレオナルドがそこに鼻を利かせて臭いを嗅ぎだしたのだが、

足がつって倒れた拍子に机の上のスクラップや灰皿やきゅうすや若干お茶が入っていた湯呑をぶちまけて、バランスをとろうとおたおたした小出克己は、バランスをとれず左後ろに左耳の当たりから倒れて、その勢いで箪笥の上にあった大判の広辞苑が顔面におちてきて、メガネがぐしゃという音をだしたのだが、

幸恵は、どんなにバイブでいじられてもいかないものだから少しイライラしてきて男のペニスを掴み、口にふくみだしたのだが、その最中に見下ろした男の表情が死んだ父親に似ていて、だからこの男に抱かれる気になったんだろうと無造作にきずいたのだが、

ちょうどそのときヨコミツの自転車の後部に乗っていた孝志が男爵コロッケをむさぼりながら、黄色く点滅していたセブンイレブンの前の信号を渡りかけていたのだが、

レオナルドが嗅ぎだしたオオマエケンイチの本を取ろうとしたヨシザワが飲み屋に出勤前のオオムタサトミのノーメイクの顔にのけぞっているのを尻目に、大きな道を目指して駆け出していた葉子は、黄色くなったイチョウの葉が一枚ひらひらと落ちてきたのをじっとみつめなくてはならないような気になり、おさまらない動悸に全身を上下に揺らしながら、足をとめてそれを眺めだしたのだが、

居間の方から大きな音が聞こえた93歳の雪乃は便意を催したため、ベッドの横にあるボタンを押したのだが、息子の克己はやってこないものだから、うめき声をあげながら、ボタンを何度も何度も押し続けたのだが、

ヨコミツが漕ぐ自転車にむかって、白いメルセデスが急カーブを切ろうとしたものだから、逃げようとしたヨコミツの自転車は横転して、後部座席に乗っていた孝志は男爵コロッケを噛みながら道路のセンターラインあたりまでふっとび、そこにメルセデスの後を曲がろうとしてきた、予約した歯医に向かう途中のフジタユミコが運転する青い軽自動車が孝志に気づかずにこっちへやってくる光景に、頭を打ってぼおっとしていた孝志はおもわず顔をひきつらせたのだが、

幸恵は父親似の土建屋の社長のペニスを、過去に忘れてきたあらゆるコンプレックスから解放されるためのように口の中で上下しつづけ、その余りのはげしさに、土建屋の社長ホドタは、精液を不可避的に放出しそうになっていたが、まだもったいないから耐えようと思っていたのだが、

葉子は落ち葉のうつくしさのなかに、人生の短さと儚さを感じ取り、今日死んでしまうかもしれないし、バージンで死ぬのはいやだと、ノーメイクのオオムタサトミに絡まれるヨシザワの方にきびすを返して歩き出したのだが、

メガネの割れたレンズが眼に食い込んでいるのを感じながら鼻に圧迫と痛みを感じた小出克己は、起き上がろうとしたのだが、つった足がありえない痙攣をおこしたために、ただもだえて何かをつかもとうと手を握り締めたのだが、割れた花瓶の破片を掴んでしまい、手に激痛が走ったのだが、母の部屋の方から鳴り続けるチャイムの音になんとか反応しようと顔をのけぞるのだが、

孝志は、フジタユミコが運転する青い軽自動車にこれから弾かれるのだと分かった瞬間に過去の記憶のフォルダがひらかれて、小学生のころにいった写生会で、意識していたイシダマコちゃんが、きづいたら隣にいる光景が眼前にひろがっていたのだが、

それは起き上がったヨコミツが、同級生の孝志が青い軽自動車に跳ねられるのを叫びながらみてしまったたんなる一瞬だったのだが、

ホドタは幸恵のフェラチオに耐え切れず白濁した精液を幸恵の口中に発射してしまったのだが、

雪乃はありえない腹部の痛みに耐え切れずに、もはやボタンを押すこともできなくなり、そのまま枕に顔をうずめたのだが、

ヘルメットを被った葉子は、ロストバージンにとりつかれながら、ヨシザワフミノリのバイクの後部に、またいで乗ると、すぐにそれは246を渋谷方面に消えて、みえなくなった。  





●ちーーっす

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やあ、幸せについて考えたよミドモ

shiawase.jpg


詩にならんよ、まだw

廃人27号

この、ちょっと
思いいれあんのよねミドモw




アイスが食べたい 015

廃人27号

HI370300.jpg


おほしさまを、ぜんぶ数えなくてはいけないと、誰がいったの?小松先生?
それは、ちがうな。
そらは、そらだ。
ただ、そらなんだ。
ほしに願いを託してみて
叶ったとしたなら、
そんな夢のないハナシもない。
叶わないから、
夢なんだから。

ヨシオ君、
ぼくと君はもう他人で、
君はママのものなんだ。
ぼくの今の仕事はジャンソウというところにずっと座って中国語の勉強と、手の運動をしているという 
しょーもないけれどぼくには大事なことをやっていてね、
残念ながら君とママを健全な市民でいさせることができなかった。
ほら、泣かないの。
ぼくはね、パパとか言う資格がないから、
ぼくというけどもね、
もう涙なんかぜんぶだしちゃったから、
もう流せなくなっちゃったみたいだ。

ヨシオは、引きつった目を みひらく。
穴のあいた パパのオレンジのセーター
あのチビた鉛筆でかきなぐったリコントドケのくしゃくしゃになったコピーがしまってあるお札のない財布。
ママにもらった千円札ぶん
あの大きな木の下のお店で 
駄菓子をかって
谷中墓地のまんなかにある公園のブランコのうえで、パパと食べた。
カラスが一匹、
ゴミをあさってた。

いつのことだか、
おもいだしてごらん
ゆりかもめ線 降りた駅
あったでしょ
キヨスクで ガムを買って
かぞくでいったしょっぴんぐ、
パパはこーでゅろいのズボンを買った。

授業参観の理科の時間
由美ちゃんが落として割った
フラスコで、指を切ったこと
にちようびに、
ずっとしんぶんを読んでて動かないパパ
ママが片付けた ひび割れたビール瓶
片目のとれた 犬のぬいぐるみ
色あせた まねきねこ 
やくたたずになった おもちゃ箱 
みなぜんぶ どんとやき

もえろよ、
もえろよ
ほのおよ
もえろ

ぼくはね、
北の果ての果てのお墓で
墓掘りのおじさんにおねがいしたんだ
おねがいだから、
生きたまま、ぼくを埋めてくださいと、
こうしてそらを見つめたまま、
ぼくは土になりたいのですと。

土の匂いで
ぼくの視界がゆっくり見えなくなると
めにうかぶ あの大きな木
つぶした カタツムリ
素晴らしく 晴れた朝
母屋から聴こえた あの母の歌
百円玉をみっつにぎりしめて
お使いに 駆け出したあの夕焼け空
学校で買わされた 赤い羽根
からまって落っこちた あのジャングルジム

ぼくはね、
ダニのように 幹をはって
ひたすら 
生き物の 気配を待って、
なにかがやってくると、 
ぼくはそのまま 落ちていくんだ
柔らかい 
いきものの皮膚のうえへ
そのまま
毒針を 差し込んで
そいつの血を
ちょっと分けてもらう

てんとう虫も
もんしろちょうも
どこに飛んでいくんだろうか
彼らに
行く先は、
わかってはいないと
僕は思う。

木も草も、
実をつけて、
花を咲かせて
なんになるかはわからないけど、
とにかく上に伸びていくのだと思う。


とおさんは、
そんなふうで
ありたいと
いつも
おもってる。


けっして
マネしちゃ
ダメだよ。






さ、
ママが
きた




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●ややっこしいのでいっこにしましたで候!お手数かけ申した!

ジゴロ・アット・ワンダーランド


アイスが食べたい 014

ジゴロ・アット・ワンダーランド

IMG_0717.jpg


ジゴロ、徳大寺肇、三十八歳、女子大生のオジョウっぽい女の子とレストランで食事をしてる。
 エスコートをたっぷりすれば、リッチなベイベーたちににゴチになれる彼のナリワイ。
 別れ際に女の子と抱き合うジゴロ、女の子の指に股間をさわられる。
 指を振って「チッチッチ」と悲しげに言うジゴロ。
ジゴロ「スウィート・ベイべー、かよこ。・・・ジゴロは、ジゴロだ。」
かよこ「・・・ノーセックス・ノードラッグってこと?」
 黙って星を見ているジゴロ。
ジゴロ「一時間半、つまり九〇分、或いは、五千四百秒…今日も、世界は平和でいたようだ」
 ジゴロの車が車道に乗り出すのを、呆然と見送るかよこ。
音楽、ノリノリのやつかかる。
かよこ「やだ、濡れちゃったわ・・」
 白いスポーツタイプのBMWの左ハンドルを握るジゴロ。
シガーケースから細長いタバコを取り出すと一服吸って吐く。
ジゴロとは、スタイルの類義語だ。

高級マンションの前に車をつけるジゴロ、フロント鏡で帽子を決める。
エレベーターを降りるジゴロ、身だしなみを整える。
部屋のドアを軽くノックするジゴロ。
一回目で誰も出ないのを不振がり、もう一度ノックするジゴロ。
恐る恐るドアを開ける。
趣味の悪いソプラノの響きが薄暗い室内にこだましてる。
軽く踊りながら女を捜すジゴロ。
風呂場のビニールの仕切りの向こうに影が見える。手を伸ばすジゴロ、
ビニールシート越しに女のボディ・ラインを撫でる。
天使の泡が飛んでいる空気のなかを、踊りだすジゴロ。
ビニールシートが開く、かなりの熟女が全裸で湯船に浸かってる。
たれたおっぱいが、水面に浮いている。
熟女「はじめちゃん」
ジゴロ「すまない、ベイベー、自由がおれを呼び止めすぎた。おまえをまたせて僕は何かを失う・・・」
熟女「うんうん、平気、いま入ったばかりよ」
音楽が馬鹿みたいに崇高な調子になる。
熟女の背中をアホ丁寧に流すジゴロ(スローモーション)

腕を捲くったジゴロがタバコを一服吐き出す。本棚で、ヘルマンヘッセが嗤っている。
バスローブをまとった熟女がワイン片手で風呂場から出てくる。
熟女「一昨日フランスから届いた最高級のワインよ」
無言で差し出されたワイングラスを傾けるジゴロ。
ジゴロ「ぶどうたちの涙だ・・・この惑星の宝であり、ただの汁だ」
一口のみ、ワインを噛んでいるジゴロ。
熟女「チーズお食べになる」
ジゴロ「かおる」
といって熟女のたれた乳房に噛み付くジゴロ。まるで葡萄を房ごと食べるみたいだ。
かおる「ああん」
ジゴロ「誕生日おめでとう」
かおる「はじめちゃ〜ん、ちょうだ〜い おっきいの〜」
ジゴロ、人差し指でちっちっちっちと決める。
ジゴロ「スウィート、ベイベー おれたちはまだただのぶどう・・・ワインになるには歳月がいる」
かおる「にくたらしい」

車高の低い洒落た車の中、フロントガラス越しに風景が殺風景に過ぎてく。
もぞもぞと胸ポケットからシガーケースを取り出し、一服するジゴロ。
ジゴロ「二時間半、或いは、9千秒…世界はまだ平和でいたようだ」

海に面す砂浜。
上半身裸で、トランクス姿のジゴロ、折り畳み式の椅子に腰掛け、流通新聞をみている。
家庭用洗剤の売り上げランキングに見入るジゴロ。
ラジオからNHKのニュースが流れている。
「次のニュースです・・・今日の朝方未明ごろ・・・千葉県・・・」
音が悪くなったラジオスピーカを見て、方眉を吊り上げるジゴロ。

さざ波は、ものいいたげに、いつもとかわらぬ世界を、ただ、なでていた。
男はサングラスをはずすと、太陽を軽く睨んだ。


短編小説風!

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自己紹介の義【キラキラ亭酔無痰】

しゅわっち

私人であり詩人、昼子悦西でござりまする。

以下は

始めての人のための自己紹介のようなしゅわっち であり、
また詩論であり、また余計分からなくさせるための方便でござる。

昼子さん_blogのコピー


てまえ 昼子と称しまするが 昼子とは蛭子のことでございます
蛭子 蛭子と いいましても いささか わかりずろうございます
蛭子は 其の起源たるわ いざなぎのみことと いざなみのみこととの 
最初の ファックに さかのぼる 奇形ジミた 一番子、あわれ流され隠岐島となりけり。
昼は 蛭とも読むけども 実は 日の子との説も之有り。
貴賤のいずれかは分からぬけども そこに似非とのオチを付け
そのまんまじゃあんまりだからあ そこに本阿弥光悦は 悦
かの西行の西をとってつけ さいと 読むことにより、ここに詩人 昼子悦西は
生をむごたらしく受け、 世の勧善懲悪をさかさにし、
虚構の日々を押し広げ 耳くそかっぽじって 詩の毒矢をうちつづけようと
こころえたる次第 

さてさて 名の言われの話はきいたが
なんでキラキラなんてー ふざけたことぬかしやがるってんだいなんて
言われましょーが、そりゃミドモが「キラキラ橘商店街」なんてーゆーふざけてるが
なかなか鯔背な通りの入り口付近の襤褸屋に棲まっているからであって、
所はお江戸 墨田の吾妻神社と梅の花咲く小村井香取神社の付近にてござい。
断腸亭なんちゃらとかおろしやこくなんちゃららみたいな言い回しがしたくて
まー後者をそのまま使っててんじゃー 藝がねーから 酔いもしねえで痰っちゅう、まあ余計藝がないけど どっかロックな表現を採用。

さて、ミドモのお面相の方でござりまするが
だれかに似てるって思い出そうとした始めて会った小母さんが
手をたたいて、風邪を堪えたマスク越しに
「あ、寅さん」と大きな目を余計デカクしてミドモに言ったので
ミドモ、狼狽。寅さんか、帽子や首からブラサゲモノという様相が似とるのか、
それとも顔が似とるのか、「ミドモはそこまで皮のツラにアツミがない」と
粋な風情のある暗喩を咬ますも白々空々霞色なんで、酩酊の態で帰宅

ミドモには詩論なんか のたまう器量はないが、
だが 現代詩というものは如何に捕らえ所なく、がゆえに且つ無限を孕むかと
言うことに言及しときたい。現代詩といっても、ここは日本国の詩に限っているが。

ミドモら元々右より傾向にある人種から睥睨させると、
いまや天下国家は価も値も丸ごと入れ替わり、歴史的背景というものの透明度が、もはや限りなくゼロに近づいているのであってかなりご機嫌斜めだし、火急の場。火話しをつづけりゃー 自前企業はメリケンの企業に買収され倒すは、たぶん土地もそうだわ
誠に火の元(二重ね)の元栓は緩みっぱなしであって、悲嘆し世捨て人と化すのも又風情なのだが
それでもそれを逆に堕落を垂涎して待ち望んでいる文化的欲望というものも不幸にしてモコモコとめたげだし、
これって美味しいんではないかと思ってしまうミドモもどこかにいざ候。

まだ近代の名残りのある昭和に産まれ、そして近代の名残りが霧消しかけた現在にその活躍期を迎えているミドモとしては、あらゆる言語や価値や文脈を使い倒せるという昂揚がなくもない。そこに対立があり、間があり、ダイナミクスがある。
それを楽しんでしまうというのは極左的意識でもありまする。
しかしミドモは無産者には まったくの興味もなく、これを忌避するものでありんす。

今や日本語の文言の可能性の中心にあると思えるのは、
キーボードによる打ちミスと、誤変換にあるとミドモは思う。
それを考えると、日本語ほど、同音発音の言語が多い言語はなく、
(それは漢語の発音を省略して簡易にしたことによる音符の重複と
日本国独自の西欧翻訳漢語を作ったこと、そして明治以降雑多な外来概念を
片仮名で受け入れてきたことによるだろうな)
センテンスを違えば全く意味をなさなくなってしまうものが多い。
逆にいうと、その無意味さ、突如感こそが、どこまでも面白いのであって、
そこに詩はにゅるりといでてくるのではないかとミドモは思っている次第。

だからこそ、ミドモの詩は、一見とっつきづらいかもしれず、
一見コントの台本のように思えるかもしれず、
人によれば知らない漢語とタームがあるかもしれず、
人によれば唾棄すべし!と保守な気焔をあげる節もあろう。
が、ミドモはそこにこそ、つまり言語の崩壊にこそ、日本語の現在の最たるものがあるのであって、それ以外に「面白さ等ない」と言ってしまいのである。
言語の崩壊を見ずして、言語は語れぬ。
そして庶民の中で無限に晒され撹拌されズタズタにされた言語こそ、詩である。
詩は高邁な精神や反戦や恋慕や反資本をのたまうばかりが能ではない。
それは詩の効用を制限した堅苦しい清廉潔白イズムであり真面目腐った男根主義的怠惰だ。要は、女の腐ったような男のすることだ。
だからワシは、そんなのかんけねーも、だっちゅーのも、どんだけーも、KYもCKYも
すておけんのである。文化人類学者のような採集欲からではない。
純粋に、ミーハーに、使いたいのだね。

1日1飯、あなたのランチ
昼子の昼飯 昼寝に昼ドラ なんでもござい。
そんなこんなで

面白きことなき世を面白くだw
そなもんだから1飯建立しつづける次第で候


しゅわっちは

昼子悦西




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デバ、カリッパナシ

たまにはしっとりしたのを。



アイスが食べたい 013

デバ、カリッパナシ

IMG_2207.jpg


デバ、
かりていたデバ
錆び付いたのを
ちゃんと磨いでくれた自転車屋のおじさんに
きのう、私はさようならを言った。
癌化した膵臓にむかって私は、
ありったけの憎悪をめり込ませた。

おとつい、お寺の境内で遊んだ。
みっちゃんがサバの缶詰を拾って来て、
よしおが猫にやって、くしゃみをした。

歌って踊れるスナックのママが、
お寺の入り口で水玉の傘をさして立っていた。
ママの赤くなった目は まるでユウヤケ色
遠くから、お寺の住職が読経をする声が聴こえた気がした。

読経は、あたりの
しじまを揺らした。

だから今夜
魚屋からドジョウをわけてもらって
そいつを天ぷらにするはず
ぱあああんと パン粉につけて 
よったったところを、
菜箸でつかんで じじゅうううと 一発。
ぼくは 塩派。
きみは ツユ派。
かのこ姉ちゃんは オロシ派。
あの人は たぶん ぜんぶ派。

そのあと、みんなで銭湯にゆこう。
おばあちゃんは、
今日もスローモーションで、動いてるよ、
今日は台東区サービスデーで100円だから。
なのでタオルを僕にかしてほしい。
ぜったい 牛乳はおごるから。
そう、せったい 牛乳はおごるからね。

麻美たちはきのう浴衣を新調して
人生でもっとも高いものを買ったと
彼女は言った。
そうなのだ、うん、そうなのだ
あれは女としての役割を果たそうとしてる。
そうだね、ほんとにそうだね
ぼくらも彼らのように なれたらと
たまに思う。

松江は電話で生保の営業を始めたと言う。
とっても
大変なのだろう
ぼくにまで電話するのだから
彼女の娘のことは、
あえて聞かなかった僕はただしいのか
それは分からない。

先月自宅出産したばかりの鶴ちゃんは、
黄色い帽子を被ってる。
彼女が20代なのは信じられないと、
はじめて会ったおじさんたちが嗤った

だから
さようならをいおう。
実にハカナイ昨日にむかって。
あいつが素うどんを茹でおえたら
ほそぼそと ばらばらに
さようならを いおう。
あの人たちとは
もう会えないかもしれないから。

そうだよ、ほんとうにそうだ
僕はさようならを言うのに
もう2ヶ月以上もたっちゃったよ

くりかえし くりかえし
火事になった画廊から
まっくろい煙が空にのびてる。

くりかえし くりかえし
消防車のサイレンは
しじまを シェイクさせている。

だからお昼。
僕ははじめてきた誰かの屋上にあるおうちで
雲が空にいっこもない世界を
愛してもいいかなと 茶色く おもった。


どこかで
涙が一滴
羽毛布団に
シミを作ったのは
昨日。
女の喘ぎ声が
空気を透明に、ぬらした。
そう、
空気を透明にぬらした。

ぽとりと、

みんなが仕事に戻っていく、
そんな昨日。
そう、そんな昨日。





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Idiotechnology

 これはイディオテクノロジーって読む。イワズモガナだけどもidiot(あほ)とテクノロジ―との勝手な造語。なんか自動記述的に書いてって、そっからが中々まとまらんかったのを覚えてる。
もっと拡大拡張させて、シュールな近未来SFみたいにしてもおもろいかもっておもてる。

 たまたま手に入れた俳句集で、偉大な俳人・山口青邨によって、水原秋桜子、高野素十、山口誓子とかとともに「4S」と称されたこともあるような、阿波野青畝(あわのせいほ)という名の耳の悪い爺さんのコメントが載っていて、それにかなりショックを受けた。客観と主観についての話だ。客観と主観とは切り離せない。手の甲と手のひらみたいなもの。

 手のひらという主観を、手の甲である客観によって握りしめている状態。おのれの内面心象だったり自意識を無くすのではなく、内に留めて、それを客観で覆うという状態。それが俳諧の理想だとその爺さんはあっけらかんといっていた・・・ショックです。まったくもー
  
 

アイスが食べたい 012

Idiotechnology
 
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ドコカナ ドコカナ
 サイトウサンガ アルキマス

「ベス、ワシの物語をここでよーく覚えておくんじゃ」
オトサンはこめかみを叩きながら言った。
「ワシはなこの国にやってきた時には、まだこの目もちゃんと見えてな、親戚の知り合いの写真屋の助手になったんじゃ。ワシの仕事は掃除とフィルム交換とキャメラ管理と奥さんのお相手だった。」
 電話が鳴ってスピーカから声が聞こえた。
「カイル!殿下。第二秘書、ミト・レイラです。双子の弟のモン・シンキューが敵のアリンコ、2569匹をメソッドでお仕置きしたとの報告です、カイル!」
「ごくろうじゃ」
 オトサンがにやつきながら返事をした。
「ワシが『イボの党』に入ったのは戦争が始まる前じゃった。ニコニコ顔のミチル遠藤さんという偉いお方がパスポート写真を撮りにやってきた。ワシの顔を見てミチル遠藤さんが言うんだ。『フォッフォフォ、もしぃ?君の特技はハエを素手で取ることではないかね?』ワシはびっくりした。その通りだった。」
 黒光りのする机の上の党機関紙『マイ・ブラインド・タッチ・フォレバー新春特別号』に載ってるオトサンの写真がステキ。もちろん、いつものおひげをつねってるポーズ。
「それで言うんだ『フォッフォフォ、君の顔には素晴らしい未来が浮かんどるな、もしぃ?』ワシはびっくりしてキャメラを落としてしまった。じゃがもうどうでもよかった」
 あたしはパンツの下が痒くてそっと掻いた。

「ここにはこう書いてある。33年イボの党、入党。3年後には幹部候補生になり、翌37年、パオロ・ゾロアスターについての論文『ああ、あなたは知っていた』でイボ・ジュン賞受賞。同年、オセアニア連合との戦い(カンガルー戦争)で失明。42年党主席となり、民間では、青髭公、おひげ弁慶等と呼ばれる、とな。フォッフォフォ。そうして今に至っておる。わしの偉大なる戦争時代の回顧を、伝説的大監督のダレイオス・ヤバックス君が『わが髯の耐えられない鮮烈さ』という映画にして先週完成させてくれた。とりあえず、見ようか。」
 
オトサンがスイッチを押すと天井からスクリーンが下りてきて、照明が右側から徐々に暗くなった。

 「誇り無き、残虐行為を我が党は断じて許さぬ」
              ―イボ・ジュン
この映画をすべての闘争への死者へ、贈る。
  
『 わが髯の耐えられない鮮烈さ 』
                  
 無数の入り乱れる装甲兵たちの間で、
 K7式重層機関銃をぶっぱなす、おとさん。
 兵士クロマメノフ「青髯公!」
 青髯公「構うな、戦はこれからぞ、同志!」
 兵士クロマメノフ「なんと……御身は!…目を!!」
 青髯公「…我が目など、所詮我が痛み。されどイボの痛みは、我が民の痛み!」
 兵士クロマメノフ「おお、殿下!あなたは、なんと気高い!」
 イボ党の兵卒たちの輪唱「嗚呼、なんと気高い!」
 兵士クロマメノフ「そして、なんと誇り高い!」
イボ党の兵卒たちの輪唱「嗚呼、なんと誇り高い!」
 (ベートーヴェン、ピアノソナタ第29番 第四楽章がかかり、天上の天使たちが、青髯公を讃え、死屍累々の大地に舞い降りる…)
鼻息荒い男のナレーション「観よ、失明せし青髯公、疾風怒濤たる敵陣の猛攻を、エアーズロックに鳴り響く風のように、古代の民たちが吹く長笛の音のように、雄大な様さえ浮かべて、跳ね返し続ける公の壮挙を!その双眸から流れる血潮は、イボ党の結成の為に、大地の永続的な平和の為に、グランド・グリーンの大地に注がれ、我が党の兵どもをイボの底からふるえたたさん!」
 
 兵士クロマメノフ「勇猛なる青髯公、このままでは、無二なる御身の御体が……」
 青髯公、銃弾の乱射をしばしとめ、兵士クロマメノフに振り返りて、微笑を浮かべて曰く。
 青髯公「グッドラック」
 おとさんのきざな台詞とポーズは、いちばんかっこよかったころの 吉田栄作みたい。


 突然部屋が明るくなった。
 男の人が入ってきた。
「押尾洋平!止まりなさい!」
「・・・なぜ本名を知っておる?青髯公と呼べ!」
「余の声を聞き忘れたか!」(効果音:カアアン)
「…ほほう、その声は…さては、連合軍処刑用ミュータントマシンSタイプ、斉藤君か?」
「成敗!」
 オトサンはニヤリとすると自分の胸を指差して、ここじゃと言った。ちょっと素敵。
 斉藤さんは44年式フルハウスでオトサンにむかって撃った。弾が空中で止まって、
「フリーズ」って言った。

「は?」
 ってオトサンは間抜けな顔をして肩をすぼめた。美学的に、ちょっとナシだったのねw
 弾は「ザ・ドリーム・イズ・オーバー」って古代のイギリスの歌の一部を歌うと、オトサンの心臓に命中したわ。おひげが少しずれたの。
 斉藤さんが怒った顔をして言うの
「庸子、あそんでちゃ駄目だろ!」
「ふぁ〜い(ハートマーク)」
 斉藤さんの小型飛行機にのってあたしはハイウェイを走るの。音楽がジュークから流れてきて、響いたわ。曲はもちろん、『イエー・イエー・アイ・ウォン・チュー』よ。

IMG_0132.jpg



I want you yeah
As soon as you can
I need you yeah
Oh I can’t help waiting until night
Oh yeah
I made a perfect plan to make love with you
Oh oh yeah
I can destroy the ivory tower, maybe
Yeah yeah I want you now
It’s true


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リンゴ剥き機:poetry reading

つくってみました。うほほ




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