きしむ
アイスが食べたい 002
● きしむ

ぜんぶの言葉が枯渇した朝、
ぼくは無気力なカラダを外気に垂らして
デッチ奉公にでる。
最後の一滴の言葉も、
知らない腹話術師にもってかれる。
鉄筋コンクリートのグリッドの上を
鉄の車輪がすべってく
かなきり音がうなって、老人は舌打ちをする。
僕らは途方もない虚無を抱えて
何十年もこうしているのだろう
あの夏もあの朝も かわらずこうして
さよならも言わずに人は、
ポツンとおいてかれる。
街は暴力と鋭利さを引出にしまって
笑顔を振りまいている
僕は地下鉄を抜けて
入り口にいた女から
ティッシュペーパーをもらう。
あのあと、君と僕と、そしてそのすべての周囲の関係するものたちは、渦となって、
極端なまでに、あそこへ流されていった。
ドミノ倒しのように人は不幸に汚されていく
残酷なのは
ぼくのほう
鍵十字は
ぼくが捨てたもの
無重力に憧れて
無重力を歌えば
無重力に弾かれて
無愛想に笑うしかないのだから
こんな夜は
歯がかける予感
キャベツの芯を噛みながら
あの店の奥の座席で
チビた鉛筆で
今夜地図を描こう
なんのため?
忘れたのかい
どこにも逃げ出せないことを忘れないために
無数のポスターが僕を見つめている
キャッチフレーズが僕を穴だらけにする
そんな僕のカラダは栄養ドリンクを欲しがる
活性酸素をいっぱい感じた夕方
僕は君に会いにいこう
ここが泣くための場所
たったひとつのサツバツからの避難所
繋いだ手と手の間の温度は
やっぱりぬくいんだな
それは記憶よりも言葉よりも早く 僕の知覚を伝う
ゼロとイチよりも早い速度とデジベルで ぬくもりは僕の頬を伝う
愛おしみのない世界で
信じられるのはそれだけなのだから
電車はいつの間にか、あの川を越えた。
ガタンゴトンと
切なさは歌う
ガタンゴトンと
寂しさは笑う
ちみは道化
歯車に挟まれて
笑いながら泣いている
戻るにも
砕かれるにも
どちらもできなく
軋む音のなかで
懐かしい日を目に浮かべている
アジサイの花にいたカタツムリ
プールに浮かんだアメンボ 塩素の匂い
ランドセルの横でゆれる
給食当番の服が入った白いきんちゃく袋
ガードレールが伸びる細い道
葬儀場に浮かんだお祖母ちゃんの煙
だだをこねてるだけだったのに、
もうあの日には戻れない
ここはもう見知らぬところ。
焼け後から楽譜だけが見つかった。
あの人の声はもう聞けないけれど
同じ歌は歌えるんだよと
姉は目をそらさず言った。
それでも僕はあした、
あなたに 会いに行く。
●一飯建立御粗末でした。
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● きしむ

ぜんぶの言葉が枯渇した朝、
ぼくは無気力なカラダを外気に垂らして
デッチ奉公にでる。
最後の一滴の言葉も、
知らない腹話術師にもってかれる。
鉄筋コンクリートのグリッドの上を
鉄の車輪がすべってく
かなきり音がうなって、老人は舌打ちをする。
僕らは途方もない虚無を抱えて
何十年もこうしているのだろう
あの夏もあの朝も かわらずこうして
さよならも言わずに人は、
ポツンとおいてかれる。
街は暴力と鋭利さを引出にしまって
笑顔を振りまいている
僕は地下鉄を抜けて
入り口にいた女から
ティッシュペーパーをもらう。
あのあと、君と僕と、そしてそのすべての周囲の関係するものたちは、渦となって、
極端なまでに、あそこへ流されていった。
ドミノ倒しのように人は不幸に汚されていく
残酷なのは
ぼくのほう
鍵十字は
ぼくが捨てたもの
無重力に憧れて
無重力を歌えば
無重力に弾かれて
無愛想に笑うしかないのだから
こんな夜は
歯がかける予感
キャベツの芯を噛みながら
あの店の奥の座席で
チビた鉛筆で
今夜地図を描こう
なんのため?
忘れたのかい
どこにも逃げ出せないことを忘れないために
無数のポスターが僕を見つめている
キャッチフレーズが僕を穴だらけにする
そんな僕のカラダは栄養ドリンクを欲しがる
活性酸素をいっぱい感じた夕方
僕は君に会いにいこう
ここが泣くための場所
たったひとつのサツバツからの避難所
繋いだ手と手の間の温度は
やっぱりぬくいんだな
それは記憶よりも言葉よりも早く 僕の知覚を伝う
ゼロとイチよりも早い速度とデジベルで ぬくもりは僕の頬を伝う
愛おしみのない世界で
信じられるのはそれだけなのだから
電車はいつの間にか、あの川を越えた。
ガタンゴトンと
切なさは歌う
ガタンゴトンと
寂しさは笑う
ちみは道化
歯車に挟まれて
笑いながら泣いている
戻るにも
砕かれるにも
どちらもできなく
軋む音のなかで
懐かしい日を目に浮かべている
アジサイの花にいたカタツムリ
プールに浮かんだアメンボ 塩素の匂い
ランドセルの横でゆれる
給食当番の服が入った白いきんちゃく袋
ガードレールが伸びる細い道
葬儀場に浮かんだお祖母ちゃんの煙
だだをこねてるだけだったのに、
もうあの日には戻れない
ここはもう見知らぬところ。
焼け後から楽譜だけが見つかった。
あの人の声はもう聞けないけれど
同じ歌は歌えるんだよと
姉は目をそらさず言った。
それでも僕はあした、
あなたに 会いに行く。
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