2008/03
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月と60円


これも古いやつだなあ 
8年近くまえのやなあ。



アイスが食べたい 017

月と60円

IMG_2064.jpg

旦那
上着は脱がないほうが
よろしいでっせ
夜は潮風が
荒れやしてね
ちっと
油断しただけで、
ぶるっと 
きまっさぁ
 
私はメロン味のかき氷を食べながら
ぼんやり飛沫を見ている

そこで
問題はですね
婦警が取り締まった車に乗ってたチビッ子がね、その婦警の分かれた旦那との間につくったガキだったんでさぁ、
いやぁ〜そりゃ、おてんとさまの考えなさることわ、あっしらみたいなシモジモにわ、
てんでガテンがいきやせんね〜
まみちゃん、
ガッテンして
いただけたでしょ〜か、
なんつって、
へ、へ、へ
志乃輔は落ち着きがあって、
あたしは好きですねぇ、
あ、旦那ライターお探しですかい?
さっきそのチョッキのカクシへしまわれやしたが?
へ、へ、へ
いやぁ、それにしてもさみぃなあ、
ところで旦那、生まれはどちらで?

風はやや冷たいが嫌な部類ではない
心臓は高鳴る
ドキン
ドキン
ドキン

旦那
お疲れでございましょ
しばらく
お休みになられたら
いかがでござんしょ

水はぬるかった
おもいきって目をあけた
光がバラバラに割れていた
自分が吐いた泡がみえた
服が重くなった
魚が死にかけていた
つかもうとしたが
気持ち悪くなってやめた
何も聞こえなくなった
私の意識はくっきり4分20秒続いた

気がつくと
ライオンが
私を
憐れんだ目で
見つめていた

私は咽喉仏の2センチほど上と
ちょうど米神のあたりを
8センチ2ミリの歯で噛みつかれ
痛みというものを久しぶりに感じた
痔を柏にある病院の肛門科医に
潰されて以来か。
顔中がライオンの唾液でベトベトになり
それに私の新鮮な血液が混じった
私は意外なほど冷静だった
ライオンは私を串刺しにしたまま
何度も何度も
私の身体を左右 前後 斜め 上下に
揺り動かした

ど ち ら に し よ う か な
天の神様の言 う と お り
鉄 砲 撃 っ て
バ ン バ ン バ ン

私は酷い痛みと流血によって視覚を奪われ
足から力が抜けていったが 
手だけは忠実に作動した
私はライオンの腹部を伝って
彼のペニスをかぼそく握り締めた
それはイボイボの凹凸があって
気持ちよくはなかった
私は全生命をほとばしらせ
ライオンのペニスをしごいた

ライオン 
ハッピーか?
え?
ハッピーか?

 旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです
旦那気持ちええです

むかし、
よなべした
かあさんが
寝ゲロを
ふいてくれた。

私の頭蓋骨は砕け
描写に耐えがたいいろいろなものが
ライオンの潤んだ瞳に反射した
私は灰色の脳の左側前方から3センチ程いったところの襞の中に埋まっていた
なんとか顔を出すと
ライオンの口の中がすぐそばにあった
私は彼ののどチンコめがけて
満面に笑みを浮かべて 全速力で走った

 ドキン
 ドキン
 ドキン

私は口を無理やり大きく開けて
検歯鏡をつっこまれていた
真っ白なマスクをした歯科医は
何かホース状のものを私の歯茎に
近づけヂ、ヂユゥーという音を立てながら
唾液を吸い取っている
 
むかし、
ゴミ捨て場から
拾ったエロ本で
縛られていた熟女は、
親戚のおばさんの長女だった。

周囲に妙な異臭がしたが
歯科医のものか私のものかは
分からなかった

診察室の入口ドアを叩く音が
三回聞こえた
若い女の研修医が
もう暫くお待ちくださいといった
ドアが無言でひらき
全身タイツにカウボーイ・ハットを被った
痩せ身の男が入ってきた
彼は名詞を歯科医に渡した
「ハンター・ハンター」と書いてあった

おまえは虫歯ハンターだ
私はハンター・ハンターだ
ハンターはハントする
よって
私はおまえをハントする

強引だが
シンプルでいい台詞だと
私は思った

彼はへそからアイスピックを取り出し
真っ白なマスクに三回刺した
確実にポイントをついたようだ
歯科医は天使になって浮遊していった
彼はアイスピックを仕舞い
私に微笑むと帰っていった

私は彼に恋をした

 唾を飲む、ゴクリと
 コトコトコトコトコートコト
 機織マシンが回ります
 シャボン玉の散れじれに
 赤外套が辞書捲る
 坊主が木魚を叩く間に
 売女が客を獲る前に
 夜霧が静寂の幕引いた
 向日葵一輪 咲いていた

 唾を飲む、ゴクリと
 灯篭明かり、目印に
 風船小童 下駄鳴らす
 コトコトコトコトコートコト
 京都弁の淫らなる
 髪長女の吐息を浴びて
 辞書捲る左手、徒に
 独楽が回っているうちに
 風船うかぶ その隙に

ここは私には知らない風景だった
知らない人の車に
勝手に乗りこんで
ここまできた
300メートル走った
厚化粧をした若い女が
親指を上げている

チッカチッカチッカチッカ

 一番ましな街までお願い
 音楽が聞きたいなあ

シャララララールルレーラリラーレレラララーラリラー

 あ、サティーね
 あんた
 バカにしてるでしょ
 こう見えても専攻、現代音楽だったの
 えっと
 ストラビンスキーでしょ、
 シュトックハウゼンでしょ、
 武満徹でしょ、
 あ、
 クセナキスって、
 知らないでしょ?
 ギリシャ人なのよ、
  
私はアクセルを踏んだ

 ねえ
 どこ行きますか?






●ぬおおおおおおおおおおおおお

一飯建立御粗末でした。
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