ママは兵隊
アイスが食べたい 003
● ママは兵隊

あさおきて ママは庭に うんと お水をまく ぼくとパパが おきると
ママは ご飯をだす
僕のはなしをきいて パパのぐちをきいて
ママは お皿を 洗って
にっこり ほほえむ
お店の時間がやってくる
シャッターが 自動的に ういーんと あく
ママは お店のすべてを きれいに お掃除
さいしょのお客さんが やってくる
ママはコーヒーを いれて
その人のぐちを きく
カウンターは ぐちぐちとして 満席になる
団体席で おばさんたちが 4人でくる
ママは 軽口をきいて おばさんたちを なごましてる
パートの子が お皿を割ると
ママは お得意の切り返しで おきゃくさまを わらわせる
ママは兵隊
ばねゆびの痛みを こらえながら
ブロック注射は しないと 決めた
ママは兵隊
満月の夜も 月のない夜も
あたらしいお料理の けんきゅう
あらいものを やっつけて
団体の コーヒーを やっつけて
3人前の ピラフを つくって
たりなかった サラダを マッハでつくって
おじさんたちや おばさんたちを はげまして なごまして
1日が おわるまで そのときまで
ちいさな からだで かけまわる
ママは兵隊
どこにもいかず ぐちもいわず
ママは兵隊
ずっと そこに いてくれる
やくざのおじさんも びょうきのおばさんも
おえらいおばさんも せけんしらずなおにいさんも
みんな みんな ママのうつわで だいまんぞく
パパも兵隊
ろうたいに むちをうって
食パンをかいに 車をだして
ピラフを いために キッチンにこもって
フキンを しぼりに 腰をまげて
かわいい むすこに おこづかい
そろそろ いやな おきゃくが くるから
しんぶんと いっしょに トイレにいく じかん
まいにち まいにち おなじだけ
まいにち まいにち ひとつづつ
お店の レジを しめた あと
ママは やっと 息をつき
おふろあがりの ぼくを みる。
あんたが とっても ちっちゃいとき
ママが 風邪を ひいたのね
ちっちゃい ちっちゃい あんたがね
フキンを しぼって いっしょうけんめい
あたしの おでこに のせたのね
ごほん ごほんって 咳したら
ママ かわいちょ かわいちょ っていって
おんぶひもで あたしを おぶろうとするのよ
びょーいん びょーいん ってかつごうと するの
あのときは 涙でたよ、ほんと。
おくにのためでも あかがみでも やっかみでも うらみでも ない
あたしは いきてるのを かんしゃ、
だって じゅうぶん しあわせだもん
さ、もう ねなさい
あしたも しごとだから
●三つめっす!一飯建立御粗末でした。
●感性の目盛が3mmあがったなら、クリックプリーズ。おねがいします。
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● ママは兵隊

あさおきて ママは庭に うんと お水をまく ぼくとパパが おきると
ママは ご飯をだす
僕のはなしをきいて パパのぐちをきいて
ママは お皿を 洗って
にっこり ほほえむ
お店の時間がやってくる
シャッターが 自動的に ういーんと あく
ママは お店のすべてを きれいに お掃除
さいしょのお客さんが やってくる
ママはコーヒーを いれて
その人のぐちを きく
カウンターは ぐちぐちとして 満席になる
団体席で おばさんたちが 4人でくる
ママは 軽口をきいて おばさんたちを なごましてる
パートの子が お皿を割ると
ママは お得意の切り返しで おきゃくさまを わらわせる
ママは兵隊
ばねゆびの痛みを こらえながら
ブロック注射は しないと 決めた
ママは兵隊
満月の夜も 月のない夜も
あたらしいお料理の けんきゅう
あらいものを やっつけて
団体の コーヒーを やっつけて
3人前の ピラフを つくって
たりなかった サラダを マッハでつくって
おじさんたちや おばさんたちを はげまして なごまして
1日が おわるまで そのときまで
ちいさな からだで かけまわる
ママは兵隊
どこにもいかず ぐちもいわず
ママは兵隊
ずっと そこに いてくれる
やくざのおじさんも びょうきのおばさんも
おえらいおばさんも せけんしらずなおにいさんも
みんな みんな ママのうつわで だいまんぞく
パパも兵隊
ろうたいに むちをうって
食パンをかいに 車をだして
ピラフを いために キッチンにこもって
フキンを しぼりに 腰をまげて
かわいい むすこに おこづかい
そろそろ いやな おきゃくが くるから
しんぶんと いっしょに トイレにいく じかん
まいにち まいにち おなじだけ
まいにち まいにち ひとつづつ
お店の レジを しめた あと
ママは やっと 息をつき
おふろあがりの ぼくを みる。
あんたが とっても ちっちゃいとき
ママが 風邪を ひいたのね
ちっちゃい ちっちゃい あんたがね
フキンを しぼって いっしょうけんめい
あたしの おでこに のせたのね
ごほん ごほんって 咳したら
ママ かわいちょ かわいちょ っていって
おんぶひもで あたしを おぶろうとするのよ
びょーいん びょーいん ってかつごうと するの
あのときは 涙でたよ、ほんと。
おくにのためでも あかがみでも やっかみでも うらみでも ない
あたしは いきてるのを かんしゃ、
だって じゅうぶん しあわせだもん
さ、もう ねなさい
あしたも しごとだから
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きしむ
アイスが食べたい 002
● きしむ

ぜんぶの言葉が枯渇した朝、
ぼくは無気力なカラダを外気に垂らして
デッチ奉公にでる。
最後の一滴の言葉も、
知らない腹話術師にもってかれる。
鉄筋コンクリートのグリッドの上を
鉄の車輪がすべってく
かなきり音がうなって、老人は舌打ちをする。
僕らは途方もない虚無を抱えて
何十年もこうしているのだろう
あの夏もあの朝も かわらずこうして
さよならも言わずに人は、
ポツンとおいてかれる。
街は暴力と鋭利さを引出にしまって
笑顔を振りまいている
僕は地下鉄を抜けて
入り口にいた女から
ティッシュペーパーをもらう。
あのあと、君と僕と、そしてそのすべての周囲の関係するものたちは、渦となって、
極端なまでに、あそこへ流されていった。
ドミノ倒しのように人は不幸に汚されていく
残酷なのは
ぼくのほう
鍵十字は
ぼくが捨てたもの
無重力に憧れて
無重力を歌えば
無重力に弾かれて
無愛想に笑うしかないのだから
こんな夜は
歯がかける予感
キャベツの芯を噛みながら
あの店の奥の座席で
チビた鉛筆で
今夜地図を描こう
なんのため?
忘れたのかい
どこにも逃げ出せないことを忘れないために
無数のポスターが僕を見つめている
キャッチフレーズが僕を穴だらけにする
そんな僕のカラダは栄養ドリンクを欲しがる
活性酸素をいっぱい感じた夕方
僕は君に会いにいこう
ここが泣くための場所
たったひとつのサツバツからの避難所
繋いだ手と手の間の温度は
やっぱりぬくいんだな
それは記憶よりも言葉よりも早く 僕の知覚を伝う
ゼロとイチよりも早い速度とデジベルで ぬくもりは僕の頬を伝う
愛おしみのない世界で
信じられるのはそれだけなのだから
電車はいつの間にか、あの川を越えた。
ガタンゴトンと
切なさは歌う
ガタンゴトンと
寂しさは笑う
ちみは道化
歯車に挟まれて
笑いながら泣いている
戻るにも
砕かれるにも
どちらもできなく
軋む音のなかで
懐かしい日を目に浮かべている
アジサイの花にいたカタツムリ
プールに浮かんだアメンボ 塩素の匂い
ランドセルの横でゆれる
給食当番の服が入った白いきんちゃく袋
ガードレールが伸びる細い道
葬儀場に浮かんだお祖母ちゃんの煙
だだをこねてるだけだったのに、
もうあの日には戻れない
ここはもう見知らぬところ。
焼け後から楽譜だけが見つかった。
あの人の声はもう聞けないけれど
同じ歌は歌えるんだよと
姉は目をそらさず言った。
それでも僕はあした、
あなたに 会いに行く。
●一飯建立御粗末でした。
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● きしむ

ぜんぶの言葉が枯渇した朝、
ぼくは無気力なカラダを外気に垂らして
デッチ奉公にでる。
最後の一滴の言葉も、
知らない腹話術師にもってかれる。
鉄筋コンクリートのグリッドの上を
鉄の車輪がすべってく
かなきり音がうなって、老人は舌打ちをする。
僕らは途方もない虚無を抱えて
何十年もこうしているのだろう
あの夏もあの朝も かわらずこうして
さよならも言わずに人は、
ポツンとおいてかれる。
街は暴力と鋭利さを引出にしまって
笑顔を振りまいている
僕は地下鉄を抜けて
入り口にいた女から
ティッシュペーパーをもらう。
あのあと、君と僕と、そしてそのすべての周囲の関係するものたちは、渦となって、
極端なまでに、あそこへ流されていった。
ドミノ倒しのように人は不幸に汚されていく
残酷なのは
ぼくのほう
鍵十字は
ぼくが捨てたもの
無重力に憧れて
無重力を歌えば
無重力に弾かれて
無愛想に笑うしかないのだから
こんな夜は
歯がかける予感
キャベツの芯を噛みながら
あの店の奥の座席で
チビた鉛筆で
今夜地図を描こう
なんのため?
忘れたのかい
どこにも逃げ出せないことを忘れないために
無数のポスターが僕を見つめている
キャッチフレーズが僕を穴だらけにする
そんな僕のカラダは栄養ドリンクを欲しがる
活性酸素をいっぱい感じた夕方
僕は君に会いにいこう
ここが泣くための場所
たったひとつのサツバツからの避難所
繋いだ手と手の間の温度は
やっぱりぬくいんだな
それは記憶よりも言葉よりも早く 僕の知覚を伝う
ゼロとイチよりも早い速度とデジベルで ぬくもりは僕の頬を伝う
愛おしみのない世界で
信じられるのはそれだけなのだから
電車はいつの間にか、あの川を越えた。
ガタンゴトンと
切なさは歌う
ガタンゴトンと
寂しさは笑う
ちみは道化
歯車に挟まれて
笑いながら泣いている
戻るにも
砕かれるにも
どちらもできなく
軋む音のなかで
懐かしい日を目に浮かべている
アジサイの花にいたカタツムリ
プールに浮かんだアメンボ 塩素の匂い
ランドセルの横でゆれる
給食当番の服が入った白いきんちゃく袋
ガードレールが伸びる細い道
葬儀場に浮かんだお祖母ちゃんの煙
だだをこねてるだけだったのに、
もうあの日には戻れない
ここはもう見知らぬところ。
焼け後から楽譜だけが見つかった。
あの人の声はもう聞けないけれど
同じ歌は歌えるんだよと
姉は目をそらさず言った。
それでも僕はあした、
あなたに 会いに行く。
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おぼえておくもの
アイスが食べたい 001
● おぼえておくもの

客のいない床屋の椅子で
口ひげ生やした亭主が頭を抱えていた
ヤブニラミの彼の店はいつも人影疎ら
人生のせいではない
不況とかのせいではない
すべては彼自身のこと
千葉駅へと向かう総武線の各駅電車で
小さな女の子が「もーしゅわけにゃい」と連呼していた
何を謝っているのだろう
誰がその言葉を教えたのだろう
すべては僕だけの 問い
千葉から東京駅へ乗り換えるための
快速電車を待つホーム
空をぼんやり見ていた僕の足に
何かが当たった
若干のけぞる僕の視界に
50cmぐらいしかない小人がいた
頭を板前のように刈り上げて
ぴったりのジャンパーとジーパンを着て
杖をついて歩く彼
誰が彼の髪を刈るのだろう
誰があの服を作ったのだろう
彼はいったいどうやって
階段を上り下りするのだろう
彼の生を想定して
ぼくらの公共物は設計されていない
だがすべては僕のなかの 妄想
覚えておこう
親指と親指を延々と回すあの老人を
チラとこちらを見る熟女の色気を
ただひたすら髪の毛を掻きあげつづける
あの青年を
携帯で話すランドセルを背負った子供を
出勤途中のホステスの倦怠を
すべては僕の目の中に 映ったもの
●ついにぼくもこういうことをやる日がきたのね(嗤)
●一飯建立御粗末でした。
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● おぼえておくもの

客のいない床屋の椅子で
口ひげ生やした亭主が頭を抱えていた
ヤブニラミの彼の店はいつも人影疎ら
人生のせいではない
不況とかのせいではない
すべては彼自身のこと
千葉駅へと向かう総武線の各駅電車で
小さな女の子が「もーしゅわけにゃい」と連呼していた
何を謝っているのだろう
誰がその言葉を教えたのだろう
すべては僕だけの 問い
千葉から東京駅へ乗り換えるための
快速電車を待つホーム
空をぼんやり見ていた僕の足に
何かが当たった
若干のけぞる僕の視界に
50cmぐらいしかない小人がいた
頭を板前のように刈り上げて
ぴったりのジャンパーとジーパンを着て
杖をついて歩く彼
誰が彼の髪を刈るのだろう
誰があの服を作ったのだろう
彼はいったいどうやって
階段を上り下りするのだろう
彼の生を想定して
ぼくらの公共物は設計されていない
だがすべては僕のなかの 妄想
覚えておこう
親指と親指を延々と回すあの老人を
チラとこちらを見る熟女の色気を
ただひたすら髪の毛を掻きあげつづける
あの青年を
携帯で話すランドセルを背負った子供を
出勤途中のホステスの倦怠を
すべては僕の目の中に 映ったもの
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